真空試験の基本:目的・理由・方法
真空試験の目的と方法
防水エンクロージャーは長さ、サイズ、材質によって異なり、それぞれの構成には特定の耐圧限界があります。耐圧深度とは、製品設計で定義され、試験で検証された最大動作深度を指します。しかし、エンクロージャーを改造した場合、特にケーブル貫通部品の追加や調整を行うと、シールの信頼性に影響を与える可能性があります。
防水エンクロージャーを開閉、再シール、または改造するたびに、シールの劣化や破損のリスクが発生します。耐水圧性能を確認する最も確実な方法は静水圧試験ですが、日常的な点検には現実的ではありません。頻繁な水圧試験は、加圧サイクルの増加により機器の寿命を縮めることもあります。そのため、非破壊の真空試験がよく用いられ、装置に負担をかけずに短時間でシール性能を確認できます。
試験前の主な確認項目:
- すべてのOリングが正しく装着され、摩耗、劣化、変形、ひび割れがないことを確認します。
- Oリング接触面に傷、異物、汚れがないか確認します。
- エンクロージャー本体およびエンドキャップにひび割れや反りがないことを確認します。
- ケーブル貫通部に引っ張りやストレスが加わり、ポッティング材(ゲル)が損傷していないか確認します。
- ベント、真空プラグ、コネクターのロックキャップがしっかり装着されていることを確認します。
- すべてのネジおよびねじ込み部品が確実に固定されていることを確認します。
目視検査だけでは防水シールを保証できません。シールの完全性を確認するためには、迅速で安全な真空試験が必要です。真空試験は、迅速・簡単・非破壊・低コストであり、漏れや不完全なシールを正確に検出できるため広く使用されています。また、機器に内部温度センサーや湿度センサーが搭載されている場合は、定期的な監視にも利用されます。これらのセンサー値の変化により、水の侵入が疑われる際にはアラーム、電源遮断、または浮上動作を自動的にトリガーできます。
なお、真空試験はシールが試験時点で正しく装着され漏れがないかを確認するものであり、外部水圧に耐える能力を保証するものではありません。
真空処理には、シール検証以外にも次のような利点があります:
- 大気圧との差により、エンドキャップとフランジが強固に固定されるため、追加の機械的ロックが不要な場合があります。
- 内部の空気量が減少し、湿度や結露の発生を抑えることで、電子部品の誤動作を防ぎます。
手順:真空プラグを使用した真空試験の方法
- 自己シール式の真空バルクヘッド(真空プラグ)をエンドキャップに取り付けます。
- 手動真空ポンプが正常に動作するか、ポンプ本体に空気漏れがないか確認します。
- エアホースの一端を手動真空ポンプに、もう一端を真空プラグの銅製プラグに接続します。
- 銅製プラグをバルクヘッドに差し込み、ポンピングを開始します。真空が正しくかかっていれば、吸引によりプラグは外れずに保持されます。
- 真空ゲージが約15 inHg(水銀柱インチ)を示すまでポンピングを続けます(これはシール確認用の基準値であり、定格耐圧ではありません)。
- 圧力を保持し、数分間ゲージの変化を観察します。圧力の低下が0.5 inHg以内であれば良好なシール状態です。
- 確認後、真空プラグを取り外し、ロックキャップを締めてポートを密閉します。
真空試験に推奨される製品:
Subsea M10 自己シール式ベント&真空プラグ
M10プラグは、水中エンクロージャー内の真空漏れ試験および長期的な負圧保持をサポートします。内蔵の自己シールバルブにより、ポンプを取り外した後も真空を維持できます。保管中や運用中の結露防止に最適です。バルクヘッド、銅製プラグ、ロックキャップが付属します。手動真空ポンプは別売です。
Subsea M8 ベント&真空プラグ
M8プラグは、手動ベントや短期的な真空漏れ試験に対応する基本モデルです。別売のM8エンクロージャーベントと組み合わせて使用し、試験後は手動で密閉する必要があります(自己シール機能なし)。短時間の点検やメンテナンス、分解作業に最適です。5 mmホース対応の真空ポンプが必要です(別売)。
長期間の真空保持を必要とする場合は、Subsea M10 自己シール式ベント&真空プラグを推奨します。
画像:真空試験
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